内燃系のセッティング


※ EFI チーニングのススメ ※

オーナーそれぞれにあるベストセッティング それを提供するのが我々の仕事

 

※ インジェクションチューニングとは、どういうものですか?

●マシンが本来持っている性能を最大限に引き出し、かつ十人十色のオーナーの乗り方に合わせた状態を作り上げることだと考えています。弊社では、さまざまなインジェクションコントローラー (サブコンあるいはフルコン) を使って燃料の噴射量を調整し、場合によっては点火時期なども見直しつつライダーそれぞれに合った車両を作り出します。

 

※ ハイパフォーマンスを追い求めるだけではないのですか?

●セッティングは、サーキットなどを速く走るためのものだけではありません。「もっとパワーが欲しい」という要望にも応えられますが、目的はそれだけではないのです。市街地を走るのに乗りやすくして欲しい、ツーリングで疲れないバイクにして欲しいなど、オーナーのさまざまな要望に応えることが目的です。

 

※ 乗り手によってチューニングもそれぞれ異なるということですか ? 

●ストップ&ゴーを繰り返す状況下で乗ることが多い人、高速道路をゆったりと流す人、あるいは高回転を使ってギンギンに走る人、コーナリング特性を高めたい人、タンデムが多い人、乗る人の環境やアクセルの開け方、好みはそれぞれ異なります。オーナーとそのマシンに見合うベストな状態を導き出すことが、インジェクションチューニングだと考えています。

 

※ 普段ハーレーに乗っていて、「インジェクションの設定を見直さなければならないのかな?」と思うのは、たとえばマフラーやエアクリーナーを交換したら、なんだか調子が悪くなってしまった。バックファイヤーが出て困った。そういう症状が出たときですが、それも解消してくれるのですか ?

よくある症状です。抜けの良いマフラーあるいは吸気効率の良いエアクリーナーに交換したがゆえに、吸気と排気のバランスを崩してしまい、乗りにくいバイクになってしまった。しかしながらサウンドや見た目には満足しているのでそのまま我慢してしまうというパターンです。カスタムを楽しみたいとせっかく高価なパーツに交換したのに、セッティングはノーマルのまま。それではベストパフォーマンスは得られません。マシンを健康な状態で、長く維持させるためにも適正なセッティングを施す必要があります。

 

※ インジェクション車はコンピュータ制御ですから、勝手に調整してくれるのではないのでは?

●スロットルポジションや O2 など各種センサーから適正な空燃比を割り出すのが電子制御フューエルインジェクションの特徴ですが、調整範囲には限度があり、マフラーなどを交換すると補正しきれなくなってしまうのです。

 

※ ノーマル車両ならば、セッティングは無用ですか?

●現行車の場合、排ガス規制等の問題でメーカーは燃料の供給量を薄めに作っているのが現状です。その設定は計算され尽くしたもので本当によくできているのですが、マシンが持つポテンシャルを最大限に引き出しているかと言われればノーです。「こんなものか……」と、諦めてしまう人が多いのですが、それではせっかく買ったハーレーが泣いています。

 

※ サブコンやフルコンと呼ばれるインジェクションコントローラーを付ければいいのですか?

●インジェクションコントローラーはあくまでもツールに過ぎず、それを取り付けただけではベストセッティングは出せません。弊社ではまずシャーシダイナモでパワー特性を徹底的に追求し、オーナーによる実際の走行でベストな状態を突き詰めていきます。アクセルレスポンスはどうか、低中回転域のトルクは十分か、高回転域の伸びはどのくらい欲しいか……。それは乗り手によってさまざまですから、オーナーの要望を聞きながら作業を進めていきます。

 

※ そもそもサブコンとフルコンの違いはどこにあるのですか?

●まず、インジェクションシステムは ECM とインジェクターの2つから成り立っています。ECM は人間でいう脳の役割を果たすコンピュータで、車両各部に設けられたセンサーからエンジン回転数や温度、吸気温度、排気ガスの状態を分析します。そして最適な量の燃料を射出するようインジェクターへ指示し、点火タイミングも制御しています。サブコンは司令塔である ECM に補正信号を送りコントロールするのに対し、フルコンは純正ECMに依存せず独立して完全な制御ができます。調整幅を考えればフルコンですが、サブコンでも十分に満足のいくセッティングが可能です。

 

※ どの製品がいいのですか?

●それぞれに特徴があり、性能は異なりますが、燃料噴射量や点火タイミングを調整するという目的はどれも同じです。調整範囲など機能面に差はありますが、どれが良いとか、どれがダメという考え方は間違いだと思います。どのインジェクションコントローラーを用いるかは、どんな乗り味を求めるかユーザーと相談しながら、予算に応じて決めていただくようにしています。

 

※ 「あれがいい」、「これがいい」といった声があるが、肝心なのはどれを使ってどんなセッティングを施すかってことですか ?

●もちろん取り付けただけでも、既成の汎用マップによりそれなりの効果は得られますが、せっかくのセッティングツールですから、存分に性能を発揮させなければもったいないと思います。まずは取り付けるだけで自分であれこれ調整してみたいという人もいますので、それも大歓迎です。「自分でやってみたけれど、どうしても満足できない部分があるからやっぱり見て欲しい」、そんな人もたくさんいらっしゃいますからね。

 

※ 既成のマップとは、どういったものなのですか?

●アメリカあるいはヨーロッパ等で作成したマップということは、日本の環境 (気候、標高、燃料のオクタン価) とは異なる場所で作り上げたものです。想定される速度も違えば、アクセル開度も異なるはず。そもそも車両すべてに個体差がありますし、乗り手のクセや好みも違う。あくまでも汎用マップです。

 

※ セッティングはどういう流れで行われるのですか?

●まずはシャーシダイナモを使ってオーナーの要望に適ったマップを作成します。その後、実際にオーナーに走っていただき、微妙な部分を調律していくという流れです。個々の車両・オーナーに合わせたセッティングを施すことが、車両にとって一番良いことであり、そのお手伝いをするのが我々の使命だと考えています。